インプラント手術を行う事前検査(精密診断)と内科的診断が無事終わるといよいよ手術となります。ここでは手術の種類と患者の不安やストレスを取り除く無痛治療、について説明します。
パッチメント(支台部)と一体になったものと、別パーツに分かれたものがあります。これらに使用するフィクスチャーやアパッチメントの種類、患者の骨や口の状況によって、「1回法」と「2回法」に手術方法が分かれます。「1回法」は局部麻酔を行い、歯肉を切開し、歯を支える骨に穴を開け、フィクスチャーを挿入します。その後フィクスチャーが骨と結合するのを待ち(上顎で約6ヶ月、下顎で約3ヶ月程度)ます。この時フィクスチャーは歯肉よりもフィクスチャー部分を上に出しておきます。うまくフィクスチャーと骨と結合していれば、上部構造(人工歯)を装着します。上部構造を装着する際に、新たに歯肉を切開する必要がないので、「1回法」と言われています。フィクスチャーとアパッチメントが一体となったものは、「1回法」が用いられます。1回の手術で済み、治療回数も少なく、費用負担が少ないというメリットがあります。しかし、骨量が少ない場合や、感染症のリスクが高いなどの問題点もあります。「2回法」はフィクスチャーを埋め込む手術は「1回法」と同じですが、この時、フィクスチャーを完全には肉の中に埋め込んでしまいます。フィクスチャーと骨が接合するのを待ってから、もう一度歯肉を切開し、上部構造を装着します。完全にフィクスチャーを歯肉の中に埋没させるため感染症の不安は少なくなります。しかし、2回手術を行うので、治療回数も増え、治療費も負担が増えます。「1回法」と「2回法」はインプラントを受ける患者の骨の状態や口の状態・使用するフィクスチャーの種類などによって最適な方法を選びます。
歯の治療は痛い!というイメージは、ほとんどの方がお持ちでしょう。最近の歯科医では麻酔の際の「チクッ」といった痛みも軽減させるような「無痛治療」を行うようになりました。またインプラント手術は、手術による痛みという恐怖だけではなく、精神的にも大きなストレスを感じる方が多いようです。インプラント手術は、もちろん局部麻酔をし、手術中痛みを感じることはありません。ただ局部麻酔ですので、手術中も患者の意識ははっきりしています。そんな手術中の患者が感じる不安やストレスを和らげるために「静脈内沈静法」(セデーション)といった方法を用いるようです。「静脈内沈静法」とは手術を行う前に点滴を行い、点滴に催眠鎮静導入剤(眠たくなる薬)を投与します。全身麻酔とは違い、完全に意識がなくなってしまうことはなく、会話することもできます。「静脈内沈静法」により手術中、ストレスや恐怖を感じることなく、リラックスしてインプラント手術を受けることができます。手術中は心電図や脈拍数、血圧など常に全身のチェックする体制をとるため、高血圧症、心臓病、糖尿病などを持っている患者にも安心です。
インプラント手術は静脈内沈静法を用いることにより、術後、手術に関しての嫌な感覚や印象は残りません。また全身麻酔ではないので、意識の回復も早いのですが、手術当日は車の運転や細かい作業などは避けた方がよいようです。手術後は感染を防ぐ抗生物質や鎮痛剤などが処方されます。また血のめぐりが良くなる運動や入浴・飲酒は止血の妨げとなります。喫煙は細菌感染の原因ともなります。このような細かい注意事項・指導は手術や患者の様子を見て、医師が決めているので、自己判断をせずに指示に従うようにします。口の中の出血はどうしても気になるものですが、あまり血を吐き出そうとすると、かえって逆効果となり血が止まりににくくなります。あまり神経質にならないことです。痛みや腫れに関しては個人差があります。通常は抜歯と同じように、麻酔が切れて痛みを感じるのと同じ程度ですから、1日から遅くても数日で治まります。当日の食事は、栄養を取る意味からも大切です。麻酔の影響で上手に食べられないかもしれませんが、あまり固いものは避けて食事をします。